川崎フロンターレ所属の大久保嘉人が丸坊主に。丸坊主は14年ぶりだそうです。なぜ突然丸坊主に??
その理由は、妊娠・流産をきっかけに病気になってしまった妻の莉瑛さんを励ますためという。
その病気は「奇胎後HCG依存症」という抗がん剤治療が必要な病気らしい。
妊娠が病気につながるなんて・・・いったいどんな病気なんでしょう?
奇胎後HCG依存症とは?
妊娠後の流産率は15~20%ぐらいといわれています。
流産の原因は主に、染色体異常で、細胞分裂がうまくいかなくて、受精卵の成長が止まってしまうことによります。
しかし、まれに子宮以外のところで卵が成長して「子宮外妊娠」となり手術が必要になったり、卵の成長が止まっているのに一部の組織が成長を続けてしまう「胞状奇胎(ほうじょうきたい)」と呼ばれる症状になることがあります。
「胞状奇胎」の場合、子宮内掻爬(そうは)術という手術をするのですが、それでも妊娠反応が消えない場合(HCGの値が高い場合)、「奇胎後HCG依存症」と診断されます。子宮内膜や子宮壁にまで、異常に成長した組織が潜入し、「新入生奇胎」や「絨毛癌」といった症状に発展することがあります。
胞状奇胎
受精した後の卵は、分裂を繰り返しながら、受精の1週間~10日後に子宮内に着床します。そして、赤ちゃんになる部分と、胎盤になる部分に分かれていきます。胎盤になる部分は、この段階では「絨毛」と呼ばれる組織です。
赤ちゃんの成長が止まってしまった後、通常ならば絨毛の成長も止まるのですが、まれに絨毛だけが異常に成長を続けて腫瘍状になってしまうことがあります。
この腫瘍、水胞状になっていて、肉眼で見るとぶどうの房のようになっているので、「ぶどう子」とも呼ばれています。
胞状奇胎の原因は?
胞状奇胎は、母体に原因はありません。
主な原因は赤ちゃんの方、というか受精した瞬間の状況にあるのがほとんどです。
たとえば
・卵子の中に精子が二つ入ってしまった。
・卵子の核が死んでしまい、精子の核だけが異常に増殖した。
ということが挙げられます。
「卵子の中に精子が二つ入ってしまった。」場合、妊娠の継続ができる場合もあるようですが、「卵子の核が死んでしまい、精子の核だけが異常に増殖した。」は妊娠の継続は不可能です。
自覚症状は?
自覚症状はある場合とない場合があるようですが、妊娠した場合に出るHCGというホルモンの値が急激に上がるため、ひどいつわりに悩まされる方が多いようです。
(ただし、つわりは個人差が大きいので、「つわりがひどい=胞状奇胎」ではありません。つわりがひどくても無事に赤ちゃんを出産している方は多いので、妊娠中の方、つわりがひどいからといって、過度な心配はしないでください!)
流産の兆候のように出血のある人や、下腹部痛のある人もいます。ただ、これも胞状奇胎ではない普通の流産時や子宮外妊娠時にある症状ですし、妊娠継続して出産に至る人でも感じることのある症状です。
つわりがひどいのに流産の兆候のような症状がある場合は注意ですが、自覚症状だけで判断するのは難しいです。
どうやって診断するの?
妊娠に気付くと多くの方は産婦人科で診察を受けると思うのですが、エコー検査をした際、胞状奇胎の場合、赤ちゃんのもと(胎芽)が見えない場合がほとんどです。粒上の影が映ることもあります。
また、血液中や尿のHCGを測った際に、値が高すぎる場合も胞状奇胎が疑われます。HCGは妊娠(着床)すると、妊娠を継続させるために出始めるホルモンで、妊娠検査薬もこの値を使っています。
治療は?
「子宮内掻爬手術」をします。子宮内に器具を入れて、赤ちゃんを掻きだす手術です。全身麻酔で行う手術です。
流産時にも行われることがありますが、「胞状奇胎」が疑われる場合は、1週間ぐらい間をあけて2~3度手術を行います。
子宮内掻爬手術の後、掻きだした組織は病理検査に出されます。
(流産のときにも病理検査に出され、「胞状奇胎」でないことを確認してくれます。)
奇胎後HCG依存症
2度目の手術の数週間後、HCGの値が下がっていれば、経過は順調と考えられますが、もし下がらなかった場合、または上がってしまった場合、異常に増殖した絨毛が子宮壁などに残って増殖を続けていると考えられ、「奇胎後HCG依存症」と診断されます。基礎体温をつけている場合には、高温期が継続し続けます。
放置すると、侵入性奇胎や絨毛ガンになる可能性があります。
診断・治療は?
MRIやCT、レントゲンなどをとって診断します。
治療は、子宮全摘または抗がん剤を用いた治療です。
病状によって違います。
妊娠の希望がある場合には、抗がん剤治療で様子を見ることがあります。
最後に
妊娠が分かった場合は、病院を受診しましょう。お医者さんは、「胞状奇胎」等の異常がないか、詳しく見てくださいます。